自身を俯瞰することで
質を向上し続ける

Anyca アートディレクター 飯島征士

DeNA Creators Interview!今回お話をお伺いするのは、個人間カーシェアサービス「Anyca(エニカ)」のアートディレクター兼デザイナーとして働く、飯島征士(いいじま・こうじ)さんです。飯島さんがはじめてデザインの仕事をしたのは、エディトリアルデザイン領域でしたが、その後、Web、UIと様々な領域を渡り歩き、現在の「Anyca」を手がけるようになったそうです。今回は飯島さんの「デザイナーのキャリア」と「Anycaのデザイン」に注目して、お話を伺いたいと思います。

Interviewee Profile

飯島征士 (Iijima Koji)

2012年にDeNAに中途入社。
DeNAコーポレートブランディングに関わったのち、新規サービス、ソーシャルゲームのプロモーションを担当。現在はカーシェアリングサービス 「Anyca」のアートディレクション/デザインを担当。

Anyca(エニカ)とは

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“乗ってみたい”に出会えるカーシェアアプリ「Anyca」。
一般のオーナーさんが所有する幅広いバリエーションの車を、気分やシチュエーションに合わせて自由に選べる、新しいカーシェアリングサービスです。
Anyca

スタートは決して早くなかった。
様々な領域を渡り歩いたからこそ出来る、初めてのサービスデザイン。

飯島さんがデザインを学びはじめたのは社会人になってからだと伺いました。何故、社会人になったタイミングでデザイナーになりたいと思ったのでしょうか。

飯島さん: 僕は京都で経営学部の学生でした。学生時代から音楽や映画が好きだったので、卒業後は、それらのコンテンツを扱う会社に就職したのですが、正直なところどうしてもやりたかった仕事ではなかったので、なんとなく本気になれない自分がいました。
そんな時に、自分の好きだったことや挑戦したかったことを思い返してみたんです。すると僕の頭に浮かんだのは、音楽のデザインだったんです。こういったデザインは誰がどこで作っているんだろうと調べていくうちに、自分でも作ってみたいという思いが生まれて、デザイナーを志すようになりました。

社会人になってデザインスキルを身につけるのは難そうに感じますが、どのようにしてデザインを学んだのでしょうか?

飯島さん: 仕事終わりの夜や土日を使って、半年間デザインの専門学校に通いました。学校では、デザインをする際に必要なツールの基礎的なスキルを一通り教わりましたが、デザインを学んだというよりは、あくまできっかけになったといった程度です。授業と課題だけだと広く浅い能力しか身につかないので、この時期は自主制作に力をいれていました。先述の会社員としての仕事もしていたので、決して時間に余裕があったわけではありませんでしたが、作ることが楽しい時期だったので、あまり苦ではありませんでした。

専門学校でデザインに触れ、念願のデザイナーになったのですね!今までどのようなお仕事を経験されたのでしょうか。

飯島さん: 学校を卒業した後は、ファッションや音楽の情報を主に扱うデザイン事務所に就職しました。割合としては雑誌のエディトリアルの仕事が多かったのですが、雑誌は「発売日」が決まっているので、入稿日をずらすことは絶対にできません。絶対に締め切りは守らないといけないんです。そして、一人いくつもの案件を抱えているので、毎週常に締め切りに追われている状態で、仕事が落ち着くことがなかなかありませんでした。少ない人数でやっていたので、仕事がどんどん溢れてきて、深夜まで働くことが当たり前でしたね。仕事は大変ではあったのですが、デザインが完成した時はすごく気持ちが良くて、納得いくものができたときは嬉しかった。だから、キツくてもすぐには辞めようとは思わなかった。

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どういったタイミングで、Webやアプリのデザインに携わるようになったのでしょうか。

飯島さん: 最初のデザイン事務所では4年間働き、Web広告の制作会社に転職しました。その会社では、商品のプロモーションサイト、キャンペーンサイト、ECサイト、コーポレートサイトなどを手がけていました。

もともと僕は音楽関係のデザインだけがしたくてデザイン業界に飛び込みましたが、エディトリアルや広告の仕事もやってみると意外に面白くて、もちろん難しさもあって、デザインの仕事にどんどん夢中になっていきました。
Web広告の制作会社では6年間働き、その後DeNAに転職することになりました。

なぜ、DeNAでデザイナーとして働きたいと思ったのでしょうか。

飯島さん: これまでに働いてきたデザイン事務所では、受託制作の仕事がほとんどでした。クライアントがあっての仕事なので、なかなか不自由な部分もありました。なので、次に入る会社は社内で企画・制作できる、事業会社でデザイナーとして働いてみるのもいいかなと思っていました。
DeNAが何をやっている会社なのか、当時はあまりよくわかっていなかったのですが、エージェントに紹介していただいたので話だけ聞いてみようと企業説明会に参加したんです。そこで事業やデザイナーの仕事の話を伺ったのですが、働いてみようと思えた理由の一つに「デザイナーにできることが多く残されている会社だ」という点がありました。個人的には、DeNAという会社はデザインというよりも、技術力に優れた会社のイメージが強く、正直、デザインは二の次な印象がありました。この部分を自分の力でもっと引き上げられるんじゃないかという思いはありましたね。これは現在進行形で、デザイナーのみんなが努力しているところです。

デザイナーのみなさんで組織のイメージやデザインのクオリティを上げる努力をされているのですね。素敵な意気込みですね!飯島さんが入社してから、どのような仕事に携わったこられたのでしょうか。

飯島さん: DeNAの開発したプロダクトとサービスの、プロモーションやブランディングを行うマーケティングチームで、Webを中心とした様々な媒体のデザイン制作やサービスのロゴデザインなどに携わりました。
クライアント案件と違い、自社で作っているプロダクトのプロモーション制作をするため、反応してくれる人が近くにいるのは、すごく新鮮でしたね。

飯島さんは、2013年1月にリニューアルしたDeNAのコーポレートロゴのお仕事にも携わっていたそうですね。

飯島さん: 僕が入社した時、ちょうどDeNAのロゴが新しく変わるタイミングでした。こんな大きな企業のコーポレートブランディングに携われる機会はなかなかないので「その仕事をやらせてほしい」という話をしたんです。
入社した時にロゴデザイン自体は出来上がっていたので、ロゴを使った社内・社外向けのツールやWebサイト制作に、携わりました。DeNAのような大きな組織の象徴を手がけることができたのは、すごく良い経験でした。

信頼するメンバーだから総合力で満足のいくプロダクトが作れた。

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今までマーケティングチームで、様々なサービスのプロモーションに携わってこられたと思いますが、なぜこのタイミングで「Anyca」のサービスデザインに携わることになったのでしょうか。

飯島さん: 正直なお話をすると自身で強く希望してこのサービスのデザインに携わったわけではないんです(笑)。最初「クルマのシェアリングサービスのデザインをやってほしい」と話をもらって、あまりサービスのイメージがわかなくて少し悩みました。
ですが、最終的に2つの理由があって参加を決めました。まず1つ目は、これまでに自分がやった事のない内容だったのでチャレンジしてみたいと思ったこと。サービスの立ち上げは初めての経験で、もちろん不安な点もあるのですが、一度やってみたいという思いもあったので、すごく良い機会だと思いました。
2つ目は、一つのサービスデザインをある程度自分の考えや思いでコントロールできること。これはすごくやりがいがある反面、責任重大だと思いましたが、同時に楽しそうだとも思えました。

初めてサービス開発やアプリのデザインに挑戦してみていかがでしたか。

飯島さん: 最初はわからないことが多かったので、他のデザイナーに聞いたり、他のサービスのデザインをリサーチしたり、アプリ制作の基本は最低限勉強して取り組みました。
サービス自体がそれほどシンプルな作りではないため、難しい部分は多くありました。
ですが、まずは自分たちで作ったサービスを世に出せたので、リリース時の達成感はありました。まだ完成度は高くないですが、チームのメンバーがとても優秀なので、総合力でリリースまで漕ぎ着けたと思っています。

今後、「Anyca」をどのように改善していきたいですか。

飯島さん: サービスとして未完成なところはまだ多いと思っています。使っていく中で使いにくいと思うところを改善して、一通りやるべき機能を整えたら、新しい機能追加にもチャレンジしていきたいです。新しい機能を追加すると、お客さんの意見が新たに生まれるので、それをまた反映して、それを繰り返して良いプロダクトへと成長させたいですね。できるだけ不安なく、使えるようにすることが、サービス全体の課題ですね。
また、デザインの質をキープすることをかなり強く意識しています。
たとえアプリ自体の完成度が高くても、プロモーションサイトやフライヤーなど、サービスに関わるそれ以外のデザインの質が低かったら、サービス全体の質が落ちてしまうと思っています。これはすごくもったいないことだと思います。なので、一つ一つのプロダクトを丁寧に適切に作りたいと思っています。

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DeNAでデザインの仕事に携わるやりがいを教えてください。

飯島さん: いろいろな得意分野を持った人と一緒に仕事ができることですね。
この会社ではデザイナーなど、いわゆるクリエイティブ職と言われるような人は全体の割合でいうと決して多くはないです。制作会社にいると、自分と同じような得意分野や思考を持った人が多いので、考え方や判断が近いのですが、DeNAはビジネス職やエンジニア職の人が多いので、その人たちから受ける影響や刺激は多くありますね。
ですが反面、当然ですがビジネス職のメンバーは、自分たちよりもデザインに対する基準点は甘めになります。それに甘んじて自分の基準点を下げてしまうことの無いよう、自分自身でしっかりと基準点を高く持つことは強く意識しています。

飯島さんがより良いデザインをするために意識していることを教えてください。

飯島さん: 自分の尊敬する大好きなデザイナーを頭の中にイメージして、そのデザイナーが僕のデザインしたものを見たときにどう思うかというのは常に意識しています。ある種、できるだけ自分を俯瞰してみるように意識しています。
身近に尊敬できるデザイナーがいれば、その人に意見をもらえばいいと思いますし、他人の目を使って、自分のデザインを判断するのは、ちょっと引いた判断ができることも多いので、大切だと思いますね。

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飯島さん、お話ありがとうございました!