『UIデザイナー』にスポットライトが当たる日を目指して。8,000名を超えるコミュニティとなった UICrunch 広めるために意識してきたこと。
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『UIデザイナー』にスポットライト
が当たる日を目指して。
8,000名を超えるコミュニティ
となった UICrunch
広めるために意識してきたこと。

こんにちは、DeNA デザイン戦略部 CreativePR の後藤です:)
UIデザインに関わる全ての人のコミュニティ UI Crunch の企画運営を担当しています!

『UI Crunch』は、2014年にスタートした勉強会・コミュニティで、GoodpatchさんとDeNAの2社で共催しており、現在connpassのコミュニティメンバー数は8,419名、Twitterのフォロワー数は4,350、Facebookのグループメンバー数は3,952名(※2018年5月時点)となりました。

4/27(金)には、任天堂さんのUIデザイナー4名をお迎えして『UI Crunch #13 娯楽のUI - by Nintendo -』を開催し、リリースから10日間で4,319名の方にご応募いただくなど、倍率は40倍ほど。任天堂さんが参加してくださったおかげで、過去開催したなかで最も注目度の高いイベントとなりました!
※抽選結果発表後、補欠になられた方の参加キャンセルがあり、現在connpass上では3986名と表示されています。

UIデザインの認知度向上やデザイナーの地位の底上げ、UIデザイン界隈を盛り上げることを目的として始まった『UI Crunch』ですが、正直、UIデザイナーを対象としたイベント(勉強会)が、ここまで多くの方に注目していただける日がくるとは思っていませんでした。

最近では、UIデザイナーやWebデザイナーを対象とした勉強会・イベントが増えていることもあり
「たくさんのデザイナーに参加してもらうには、どういった工夫をすればいいの?」
「登壇者選定やテーマ設定のコツを教えてほしい」

……といった、ご意見・ご質問をいただくことが増えました。

私が企画運営にフルコミットしたのは「UI Crunch #8 UIデザインに求められる実装スキルと考え方」から(計:7回)なので、それ以前のイベントの立ち上げ当初については語れませんが、過去に開催した7回について、イベント・コミュニティをスケールさせるための 企画運営のコツ・意識していること・こだわっていること を一部お伝えしながら、先日開催した 『UI Crunch #13 娯楽のUI - by Nintendo -』 についても振り返れたらと思います。
※あくまでもUI Crunch企画運営に関わる個人が考えたノウハウですので、UI Crunchを代表して発表するものではございません。

デザイナー・クリエイター向けのコミュニティ&イベントを企画運営されるみなさまのお役に立てると嬉しいです。


目次:

00: UI Crunchとは

01: イベントタイトルが集客を決める
02: イベントコンセプトに合ったビジュアル表現
03: コミュニティを活性化する、運用サービス
04: 活躍する若手デザイナーの発掘
05: テーマと登壇者と組み合わせに、新しさはあるか
06: “トップデザイナー”に会える場づくり
07: デザインとは関係ない、トレンドニュースもつねに入手
08: Twitterでデザイナーを観察&ヒヤリング

最後に「UI Crunch #13 娯楽のUI - by Nintendo -」を終えて


00:UI Crunchとは

『UI Crunch』とは、UIデザインを追求するコミュニティです。デザイナーだけでなく、エンジニアやディレクターといった、UI開発に関わるすべての人を対象とした勉強会を開催しています。
ただの『勉強会』という位置づけではなく、『UI Crunch』というコミュニティを広げていくことによって、UIデザイン・UIデザイナーの認知度を上げ、日本全体のUIデザインの底上げをしたいという強い想いを持ち運営しています。

運営側からの一方的なコミュニケーションではなく、UIデザインに対して強い想いを持つ参加者の方々と力を合わせて、一緒にこのコミュニティを広げていけたらと思っています。

UI Crunch|イベント募集ページ:https://ui-crunch.connpass.com

01:イベントタイトルが集客力を決める

イベントに興味を持ってもらうのも、集客をするのも、タイトルで決まる!といっても過言ではありません。

「イベントは企画内容や登壇者がすべてでしょ?」

もちろんそうなのですが、イベントタイトルに惹かれないのに、イベントページにアクセスする人はなかなかいないと思います。イベントの中身を知ってもらうにはタイトルで「面白そう!」と思ってもらえないと、中身(企画内容)を知るところまでたどり着いてもらえません。

また、魅力的だと思ってもらうために必要なタイトルの考え方ですが
「簡潔に短い言葉で表現する」「新しい」「役に立ちそうだと思わせるメッセージ」「トレンドワード」「具体的な数字」「インパクトワード」「読み手が悩んだり困ったりしていることが解決できそうな内容」 ……等が含まれていると、よりクリックしてもらえる確率が上がります。

02:イベントコンセプトに合ったビジュアル表現

また、イベントタイトルと同様に大事なのがイベントのメインビジュアルです。OGPとしても使用されるので、SNS上でシェアされた時に、 いかに目につくビジュアルであるか、ひと目で内容がわかるかが重要 です。

『UI Crunch』の場合、『UI Crunch』のことをビジュアルでも覚えていただけるように、いつもは同じロゴ・同じビジュアルで統一して展開しているのですが、スピンオフイベントの開催の時だけは、ビジュアルを大きく変えています。ビジュアルをガラッと変えることで、いつもと違う構成や企画だ……ということをすぐに気づいていただくためです。
 
『UI Crunch #13 娯楽のUI - by Nintendo -』の場合は、DeNAのデザイナーが「ひと目で任天堂さんが登壇することがわかるデザイン」を数案提案して、任天堂さんに選んでいただきました。任天堂さんのコーポレートカラーである赤、そしてコーポレートロゴを大きく載せるだけで、ひと目で何のイベントか伝わりますよね……!

特にターゲットがデザイナーの場合、ビジュアルが気になる方も多いので、ビジュアルの文字組が雑だったり、コンセプトが伝わりにくかったり、タイトルとビジュアルがマッチしていなかったり、写真があきらかにフリー素材だったり、可読性が低かったりすると、目に留めてもらいにくいです。
小さなバナー画像ひとつ作るにしても、デザイナーではない人が無理やり作ろうとせず、イベント企画段階からデザイナーに相談してプロジェクトに入ってもらったほうが、より良い結果に繋がるはずです。

03:コミュニティを活性化する、運用サービス

イベント・勉強会・コミュニティの運用サービスは現在多く存在し、Facebook、Peatix、connpass……と様々です。『UI Crunch』に申し込んだことのある方はご存知だと思いますが、『UI Crunch』は connpass を利用しています。
connpassを利用し続ける理由として、いくつかあるのですが

  • 『UI Crunch』に過去に申し込んでくださった方々に、イベント公開通知が届く。
  • デザインがシンプルで見やすい。
  • フォローしているグループ以外からメルマガが届かない……等。

私は普段いろんなイベントの企画運営を担当しているため、様々なツールを使っているのですが、他のツールと比べて、「connpass」はイベント公開時のお知らせメールからの、観覧数と申込数がとても多いです。
『UI Crunch』のイベント情報を公開すると、いつもリリースして1〜2時間で、数百件のお申し込みをいただきます。その多くが イベントの公開お知らせメール から流入しています。

また、connpass公式からのメルマガ配信がないのも、使い続ける大きな理由のひとつです。
メルマガがよく配信されるサービスだと、欲しくない情報もまとめて届くため、面倒くさくなって中身を見ずにゴミ箱に捨てる……なんてこともしばしば。
connpassの場合、connpass上でフォローしているグループの情報しか届かないようになっているので、 connpassから届くメールは、基本「自分が興味のあるイベント公開情報」 のみ。

求めている情報しか届かない(?)connpassからのイベント公開お知らせメールはとても有益で、イベントのファンが増えれば、観覧数や申し込み数も回を重ねるほど増えていくはず です。

04:活躍する若手デザイナーを発掘する

「業界有名人」や「インフルエンサー」といった、すでに活躍されている方々に登壇いただくと、イベント自体の注目度は上がりやすくなると思います。でも、必ずしも集客できるかというと、発信する場所やタイミング、テーマ等の組み合わせ方によって大きく違うのではないでしょうか。
もしかすると、 有名な方に力を借りる方法よりも、テーマや登壇者の組み合わせ(企画)次第でそれ以上の集客効果をもたらせるかもしれません。

『UI Crunch』の登壇者選定ですが、「注目度が高い&伸びているサービスに携わっているデザイナー」や「実力があって、まだ露出していないデザイナー」など、 活躍しているけどまだスポットライトは浴びていない そんなデザイナー・クリエイターを探す努力をしています。

私個人の想いではありますが、まず、 デザイナーとして「良い物を作っている人が正しく評価され、フィーチャーされる」 そんなコミュニティでありたいと願うのです。

また、『UI Crunch』を通して良いものを作っているデザイナーのことを多くの人々に知ってもらい、刺激を与え「こんなデザイナーになりたい」と思う人が増え、また良いデザインが生まれる…。刺激が循環するような環境をつくり、業界の底上げにつながればと思っています。

05:テーマと登壇者と組み合わせに、新しさはあるか

04の組み合わせの話と重なる部分もあるのですが、『UI Crunch』のテーマを決める際「登壇者」と「テーマ」をセットで考えるのですが、私が最も重要視するのは 「新しさがあるかどうか」 です。
これだけ聞くと当たり前のことですし、簡単そうに思われるかもしれないのですが

  • デザイナー向けのイベントで、すでに同じテーマのものはないか?
  • 話題になったサービス・プロジェクトのリリース後、初の登壇か?
  • 登壇してほしいと思っているデザイナーは、他のイベントで最近登壇していないか?
  • 意外性のある組み合わせか?
  • トレンドの技術や領域に触れているか?…等。

話題になったサービス・プロジェクトのリリース後、その案件に携わったデザイナーに、いかに早くイベントに登壇してもらうか、 スピードとタイミングをとても大事にしています。
なので、話題になったサービスに合わせて、バタバタとイベントの開催を決めることもあります。笑
良い意味で、『UI Crunch』を楽しみにしてくださっている方の期待を裏切りたい、そして期待にも応えたいと思っています。

06:“トップデザイナー”に会える場づくり

『UI Crunch』は、「界隈で活躍するデザイナーが集う場」としても機能していきたいと思っています。
「UI Crunchに行けば、良いデザイナーに会える」
「憧れのデザイナーに会える」

そんな場・コミュニティにすることを意識しています。

優秀なデザイナーさんたちに「申し込みたい!」と思っていただけるようなイベントになるように工夫するのはもちろんですが、各回でテーマに合うデザイナーを招待しています。
また、別業界で活躍するデザイナーを招き、いろんな領域で活躍するデザイナーが交流できるような場になることを目指しています。

07:デザインとは関係のない、トレンド&ニュースをつねに入手

イベントのテーマやコンテンツを考える際に必要となるのが、「業界のトレンド」や「ニュース」を、積極的に入手&インプットすることです。

「◎◎社が資金調達をした」
「◎◎社がデザイナーを積極的に採用しているらしい」
「◎◎社が新しいサービスをリリースした」

上記のようなニュースが発表されたタイミングは、優秀なデザイナーが各企業に集まりはじめます。
そういったニュースをキャッチしたら、それぞれの会社にどのようなデザイナーが集まっているのかリサーチします。

また、1つのイベントを開催するためには、様々なコンテンツや素材が必要となります。
会場で流すBGMは、イベントテーマに合うものを選定し世界観をつくり出し、懇親会で出すケータリングは、食べやすくて、印象に残る、美味しいものを出せるように心がけます。
(予算が厳しくて泣く泣く諦めることもありますが;)

どんな曲を流そうか、どんな装飾をしようか、どこにケータリングを頼もうか、それぞれ知識としてためておく必要はないかもしれませんが、都度相談できる人が近くにいると良いかと思います。

技術やツールのトレンドは、イベントのテーマに盛り込める可能性があるので、把握しておくと何かと役に立ちます。

08.Twitterでデザイナーを観察&ヒヤリング

サービスをつくる際、みなさんは直感で「◎◎は求められているはずだから作ろう!」と、いきなり開発をはじめていますか?きっと市場のリサーチや、ユーザーヒヤリングから行うはずです。

イベントも同じです。

なんとなくそれっぽい場やコミュニティは簡単に作れても、既存のものに寄ってしまったり、開催してみたら集客できずヒヤヒヤしたりしていないでしょうか。

それは本当にデザイナーが求めている場なのか?
運営側の「届けたい」「集めたい」が一方通行になっていないか?
もう一度整理しましょう。

ターゲットとなるデザイナー像を設定して、そのターゲット像にあてはまるデザイナー数名に 「何に興味があるか」「憧れのデザイナー・クリエイター」「普段何に困ったり悩んだりしているか」「どんな勉強会であれば出席したいか」 ヒヤリングしてみると、きっと想定外の意見が出てくると思います。

また、ヒヤリングだけでなく、普段からTwitterでターゲットとなるデザイナーたちがどんな情報に興味を持ち、何を見て、何をシェアしているのか観察することも大切です。
Twitter上には、デザイナーたちの様々な思いや考えがつぶやかれていて、デザイナーが無意識につぶやく情報を毎日のように見ていると、イベントに求められるであろう内容、提供すべき情報が段々と見えてくるはずです。
そういった情報をかき集めて、イベントのテーマにしたり、Twitterで出会ったデザイナーに登壇してもらったり。

Twitterは、多くのアイデアや魅力的な人に出会える
企画者にとって大切な場だと考えています。


……以上、いまお伝えできるUI Crunch企画運営で意識している8つのポイントです。
どれも小さいこと、当たり前のことですが、少しこだわるだけで
らしさを詰め込むだけで、他にはない特別なイベントになるはず!

『UI Crunch』は全部で15回開催しているのですが、開催する度に新たな発見や反省点が見つかり、登壇テーマ、登壇者、トレンド…等に合わせて常に変化しています。
時代と共に変化し成長し続け、デザイナー・クリエイターに求め続けられるイベント・コミュニティであれたらと思っています。

最後に「UI Crunch #13 娯楽のUI - by Nintendo -」を終えて

『UI Crunch #13 娯楽のUI - by Nintendo -』 の企画は、運営企業だけでなく、任天堂のみなさんにもご協力いただき、打ち合わせを重ねて詰めていきました。設営・誘導・撮影・記録・受付・BGM…等、最終的には50名程のスタッフが力を合わせて、イベントを完成させました。
私自身、熱量を込めて運営していたイベントだったため、リリース前からずっと緊張が続いていて、イベントが終わった後には「ホッとした」……というよりも終わってしまった寂しさでいっぱいになり、涙が出た記憶があります。笑

あたたかく、わかりやすく、楽しい場を一緒に作ってくださった任天堂さん、参加者のみなさん、運営スタッフのみんなには、とても感謝しています。

ここまでいろいろと偉そうに書いてしまいましたが……
まだまだできていないことや、やらなければならないことはたくさんあります。

「もっとこうしたら良いイベントになると思う!」率直なご意見&ご感想がございましたら、ぜひ直接伝えていただけるとうれしいです!
今後も3〜4ヶ月に一度のペースで『 UI Crunch』を開催していく予定ですので、また興味を持っていただける企画がございましたら、ぜひお申し込みください。

近々『UI Crunch』コミュニティで飲み会や交流会、カンファレンスなども開催できたら良いな…( ´ ▽ ` )ノ

『UI Crunch』やDeNAデザイン戦略部の活動情報を今後も知りたいという方は下記、Facebookページをチェックいただけるとうれしいです◎

DeNA デザイン戦略部 活動の最新情報はこちら

また、『UI Crunch #13 娯楽のUI - by Nintendo -』に参加くださったみなさんが素晴らしいレポート記事を書いてくださったので、イベントの詳細を知りたい方は是非下記URLをご覧ください。


|UI Crunch #13 レポート一覧

※随時更新

By キャリアハックさん

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参加してくださったみなさん、素晴らしいレポート記事&ツイートを本当にありがとうございました!

それでは良いデザインライフを( ´ ▽ ` )ノ