AI創薬事業のブランディングデザインとその一つのプロセス

こちらは「Service Designer's Advent Calendar 2018」の、14日目の記事です。

こんにちは。DeNAのデザイン本部サービスデザイン部の和波です。
今回はDeNAのヘルスケア事業を担当しているデザイナーがどんなことをやっているかについて、ロゴデザインの事例でご紹介したいと思います。

DeNAではヘルスケア事業として遺伝子検査サービス「MYCODE」や「KenCoM」や「歩いておトク」などさまざまなサービスを作ってますが、今回はその中でも私が「AI創薬」プロジェクトのロゴをデザインするに至った背景やプロセスとその結果について書きます。

︎DeNAヘルスケア ウェブサイト

なぜAI創薬のプロジェクトロゴを作ったのか

DeNAは製薬会社様と共同研究を行い、AI創薬に取り組んでいます。DeNAのAI技術と製薬会社様のデータ・知見を融合し、創薬の鍵となる化合物最適化プロセスの大幅なコスト・時間短縮に繋がる技術を開発しています。

創薬は10年以上かかったりとにかく膨大な時間がかかります。そこで、最も研究コストがかかる「リード化合物の最適化」の高速化をすることで、薬の大きな未来を開くことを目指しています。

このプロジェクトは絶賛研究開発中ですが、今後増えていくであろう社内外への活動発信のために、ブランディングの必要性がありました。そこで、その第一歩となるロゴを提案しました。

どんな風にロゴを作って決めていったのか

そもそもAI創薬ってなんぞや?と感じる方も多くいらっしゃると思いますが、私もその1人でした。そのため第一回のロゴの提案は方向性として大まかなイメージを収集して方向性を伺おうといくつかロゴ案を出してAI創薬チームメンバーに提案しました。そこで、プロジェクト開始時と今のメンバーとでそれぞれビジョン自体に対して意見が出てきました。

メンバーからいただいた意見を元にビジョンを噛み砕きコンセプトとロゴに落とし込み改めてデザイン提案書として改めて提案することにしました。

チームに対してビジョンの合意が取れたらここからいよいよロゴの提案です。

最終的には「AIを通じて病気と闘うすべての人に勇気と希望の可能性を提供する」というビジョンを掲げていますが、自分たちができることベースで考えると「AIによるリード化合物の高速最適化」なので、フェーズごとに方向性を区切って案が必要となりました。
そこで、キーワードなども洗い出して①〜③まで方向性を分け、ひらすらアイデアを練り形にしていきます。

ビジョンに対しては合意取れている状態なのでここからはフラットにチームでロゴ投票して行きます。あくまでブランディングなのでやっていることのファクトではなく人から「AI創薬」がどう思われたいかで選考いただきました。

実際ロゴができてどう変わったのか

最終案のロゴが選ばれレギュレーションも整い完成です。
しかし、ロゴデザインはここで終わりではありません。できてからが本当の始まりです。

まずはその第一歩として、ロゴができたことによってAI創薬プロジェクトチームにどんな変化があったのかアンケートを取らせていただきました。

選ばれたロゴについてどう思うかについては85%高評価をいただけて、こんな理由もいただけました。思わぬ課題感も出るのがありがたいです。

・デザインプロセス・決定理由が明確だった。
・単純にかっこいい。
・シンプルでスピード感があっていいと思いました。
・決定に関わっていたから。
・デザインとして洗練されてる気がします。
・まだ目にする機会が少なくて実感がわかないので、使用感?のようなものがない状態です。
(抜粋)

また、どんな変化があったかという質問に対してはこんな回答が。

・ロゴができたことで、プロジェクトが少し進んだ感がある。対外的な見栄えが良くなる。
・ロゴがあることで事業の一角にあるんだという気持ちになった。
・AI創薬関連のWEBページなどをチェックする際にロゴがあるかどうか気になるようになりました。
(抜粋)

ロゴひとつとはいえ、中の人たちの心情にも変化を生むことができたとわかり嬉しかったです。
最後に、一番嬉しかったのが要望やコメントのアンケート結果でした。

・デザインプロセス・決定理由が明確で納得感がありました。お疲れ様でした。今後もよろしくお願いします。
・デザイン候補案の資料を詳細に作ってくださったおかげで、チーム内での選定作業が非常にスムーズに進みました。コンセプト、伝えたい想いを明確にした上でのロゴづくり、素敵でした。
チームに対してデライトフルだったと思います。
・ロゴの効果的な使い方やルールが分かっていないので、そのあたりの案内もあると嬉しいです。
・和波さんがAI創薬の歴史とAIイメージの理解をしっかりされたので大変助かりました。しばらくはプロジェクトですが、商品名ができたらTrade nameでのロゴをぜひ!
・AI創薬を外から見るとどういうイメージで捉えられるのかということの1例としてすごく面白かったです!
(抜粋)

このように、デザインプロセスや決定理由においてもチームメンバーの合意を取りながら全員が納得を持ってデザインを進められたというのは今回ひとつの大きな成果でした。

ブランディングとしてどうAI創薬のDelightを届けられるかという一心でこのロゴプロジェクトを進めて行きましたが、その結果チームに対してもDelightだと思っていただけるデザインができたことがとても嬉しく、「デザイナーやっててよかった・・・!」と心底思いました!

今回のロゴ制作を通して学んだこと

  • 課題提起においてデザイナーは「見える化」という特技が使えるので、そのサービスやプロジェクトに関わるメンバーをスピーディーに巻き込めて実行に移しやすい。
  • どうビジュアルを作るかはもちろん大切ですが、プロセス自体も設計することにより納得度の高いアウトプットに繋がる。
  • 「聴く姿勢」の大切さ。ロゴを作っただけのフェーズですが色々な声がいただけたので、チームにもその先の利用者にも向き合うことで事業理解が進むだけでなく、思わぬ想いやキーワードに気付ける可能性が高まる。

今回『DeNAの「AI創薬」をデザインの力で知ってもらいたい』という想いから始まりロゴは完成しましたが、ここがブランディングのスタートなのでデザインの力でDeNAの「AI創薬」を引き続きバックアップしていきたいと思います!

最後に。事業におけるデザイナーの関わり方とは

今回はブランディングロゴについてのプロセスとその結果について書きましたが、DeNAのデザイナーはバックグラウンドも事業への関わり方も多種多様です。このブログを書いている私も普段は別サービスアプリのUI・UXを担当させていただいてます。

事業におけるデザイナーは、自分が何のどんなタイプのデザインをするかより、
「ビジョンを理解して今何をしたら一番事業に対して、そしてその先の利用者に喜んでもらえるか」を考えて動いていくと楽しいのではないかと思います。

以上、最後まで読んでいただきありがとうございました。
Service Designer's Advent Calendar 2018」は、これからも12/25まで毎日更新されます! サービスデザインに興味のある方は明日の記事もぜひチェックしてみてください。