こちらは「Service Designer's Advent Calendar 2018」の、2日目の記事です。
DeNA は複数の事業を運営しているため、DeNA DESIGN BLOG 編集部では様々なサービスを、様々な角度・形式でお届けしていきます。
例えば今回のエントリーでは「複数のデザイナーが担当サービスについて語る」インタビュー形式でお届けいたします。別のエントリーでは「一人のデザイナーがサービス〜ビジネスについて考え・紐解き・書く」形式や、「複数のデザイナーがテキストを編集しあってチームとして公開する」形式などを予定しています。
それでは今回は、小説投稿サービス「エブリスタ」に関わるデザイナーのエントリーをどうぞお楽しみください〜!
DeNA Creators Interview!
2018年6月、サービス開始から8周年を迎えた小説投稿サイト「エブリスタ」。今回は、この記念イベントに携わったデザイナー3名をご紹介します!
プロフィール
李 相美 Sangmee Lee (写真:右)
日本の美術大学院卒業後パッケージ制作会社にて主にプロダクトを手がける。その後、IT企業のブランディングデザイナー、CIデザイナーとして従事。DeNAでは、リアルイベントや、グッズ制作、UIデザインを担当。
玉腰 理恵 Rie Tamakoshi (写真:中央)
2013年に新卒入社。ゲームのプロモーション案件や、Anycaの立ち上げ・運用にデザイナーとして携わる。現在は、エブリスタのリードデザイナーとして、UI/UXデザインをメインで担当。
永田 仁美 Hitomi Nagata (写真:左)
広告系のデザイン会社に従事。2017年に入社してすぐにエブリスタに配属され、エブリスタの運用・UI/UXデザインに従事。去年の7周年イベントのデザインを担当。
イベント会場に映し出されたアニメーションマッピング
——「エブリスタ」のサービスと8周年イベントについて教えてください。
永田:エブリスタは小説投稿サービスです。小説を書きたい人と読みたい人が出会うプラットフォームとして、これまでに200万点以上の作品を配信してきました。投稿された小説は、書籍化や漫画化、映像化へのメディア展開もされています。
玉腰:エブリスタのリアルイベントは主に小説を投稿してくださる作家さんたちを招待して、日頃の感謝を伝えるとともに交流の場になれば、という思いから始まりました。集まった作家さん同士がお互いの作品を読むことで刺激を与えあったり、さらに交流が深まったりするといいなという思いから作家さんのオリジナル名刺を制作し、当日お配りしています。
李:他にもノベルティや、今回のテーマにあわせたスタッフTシャツなども制作しました。
——今回その8周年イベントにみなさんはどのような関わり方をされたのでしょう?
玉腰:リアルイベントに合うエンブレムやグラフィックを李さんがメインデザイナーとなって制作し、私と永田さんは過去のエブリスタでのリアルイベントも経験しているので、助言をするような形で関わりました。
李:私が2018年の2月からエブリスタにジョインしており、サービスブランドの理解度、自分のスタンスもまだまだ勉強中だったので、私がデザインしたものに対して2人からアドバイスをもらいました。
永田:私達でエブリスタらしさを担保するということですね。
李:企画から与えられたテーマが“パーティ”ということだったので、華やかさ、賑やかさを意識してデザインしていきました。漠然としたイメージしかない中で、打ち合わせを重ねてキーワードを引き出し、エブリスタらしさを上手くまとめて表現するのがチャレンジのポイントでした。 最初のデザインは、”小説”というキーワードを元に、ロゴに原稿用紙や本の素材をたくさん使っていたのですが、2人に見せたら「これは違う」と……。
ロゴをアレンジし、原稿用紙をモチーフにした初稿のラフ案
玉腰:実は約1年前のタイミングで「エブリスタ」のロゴが大幅にリニューアルしているんです。まだ1年しか経っていない、浸透しきっていないロゴを大きくアレンジしたものでいいのか……。李さんのアイデアはとても面白かったのですが、新ロゴとしての認知を十分に高めてからにしたいと思い、変更してもらいました。
李:私自身、ブランディングを考えた上での自由な発想でデザインしていましたが、新ロゴの認知度が低いため、ロゴの表現を崩したくない2人と、幅広い表現をしたいという私の思いがぶつかってしまいました。
また、頭にあった最初の案から抜け出せず何案も作成したり、一旦リセットしてゼロベースで考え直したりと、思考錯誤しました。2人は私の意見もしっかり受け止めてくれた上でアドバイスをしてくれたと感じています。
永田:私達も李さんが作業者みたいになってしまうと、本人も作っていて楽しくないし、彼女の良さが引き出されないな、と思って一緒に作り上げている感を出すアドバイスを心がけましたね。
——ブランディングという制限があるものと、デザイナーの自由な発想は相反するものだと思うのですが、それをどうやって調整していったのでしょう?
永田:「これはだめ」とはっきり伝えることですかね。エブリスタのムードを伝えるためにたくさんのイメージを一緒に見て「これは違う」「これはそう」みたいな具体例を出しながらの話合いを3人で何度も行いました。
玉腰:「Googleのロゴは多くの人に認知されているから、これだけ遊んでいいけど、エブリスタはまだだから!」とか、わかりやすくしっかり伝えるように心がけました。
李:コミュニケーションの重要性を感じました。
永田:他には、企画担当者からコンセプトをちゃんと引き出しておかないと、とは思いました。「自由にやって」と言われても、広すぎるとやりにくい部分があって、その部分を考えて埋めていくのが仕事なのかな、と改めて感じましたね。
——デザイン的にこだわった点はどこですか?
8周年パーティーで採用された手書きのイラスト
李:エブリスタはwebサービスなんですけど、せっかくの対面イベントだったのでリアル感を与えたいと思いました。グラフィックのモチーフが少なかった事もあり、解決方法として手書きのロゴやイラストでアナログ感を出しました。
他には、企画段階で今後もシリーズ的にいきたいという意図を聞いていたので、色使いはブランドのロゴカラーである水色に、サブカラー1色をプラスするルールで印象が変わり今後も続けていけるようなものにしました。良いスタートが切れたんじゃないかな、と思っています。
玉腰:ありがたいことに、今回の8周年イベントは作家さんたちからも好評で! ノベルティも喜んでもらえました。
ノベルティのノート・ステッカー、それを入れるトートバッグ。パンフレットや、スタッフが着用するTシャツなども制作された。
——確かに盛り上がっていましたね。ちなみに、3人は日頃、UIデザイナーとして意識して取り組んでいたり、インプットしていたりすることはありますか?
永田:エブリスタと似たようなサービスを見たり、試してみたりしています。エブリスタのようなプラットフォームを担当するのは初めてだったので、類似する色々なサービスを触ってみないと、便利さや使いにくさみたいなものはわからないので。
玉腰:私はエブリスタにきて約2年になるんですけど、それだけだと偏ってしまうので、プライベートの方で様々なデザイン制作するようにしています。幅広くデザインを行うことでインプットもおのずと増え、エブリスタのデザインに活かせることが多くあります!
李:私がUIデザインを始めたのが今年の2月からで、最初は考え方が同じでもやり方はサービスによって異なる点があると感じました。デザイナーとして伝えたい表現をユーザーへ向けて考え、周りからの意見を汲み取り、消化し、自分なりのデザインを積極的に表現していくようにしています。
玉腰:リアルイベント以外でも、ユーザーさんにたくさん喜んでもらえるよう、いろいろ準備しています。これから楽しみにしていてください!
——ありがとうございました!
(撮影:中野和明)
ここまで読んでいただきありがとうございました。
それでは明日の Service Designer's Advent Calendar 2018 もお楽しみに!