一人ひとりの“Live”を“Life”へデザインする。
ライブ配信アプリ『Pococha』のリブランディング

爆発的な拡大をみせるライブ配信市場。国内外の企業参入が相次ぐ中、ライブコミュニケーションプラットフォーム『Pococha』も圧倒的な速度で成長しています。

Pocochaは今後の更なるサービス拡大に向けて、2019年10月にリブランディングを実施。リスナーさん(ライブ視聴者)・ライバーさん(ライブ配信者)・運営が一丸となって積み上げてきた想いや価値観を「Pocochaらしさ」として言語化・視覚化させました。

そのPocochaのストーリーを4週間に分けてお届けしていきます。

1週目の本記事では、「新生Pocochaブランド」がどのような背景で誕生したのか、どのようにクリエイティブしていったのかを、DeNAデザイン本部 田村がご紹介したいと思います。

はじめに

2017年1月10日、DeNAはライブ配信サービス『Pococha』をスタート。

Pocochaは、スマホさえあれば誰でもいつでも簡単にライブ配信と視聴ができるライブコミュニケーションアプリで、リスナーさんとライバーさんによる双方向コミュニケーションで、一緒にライブ配信を盛り上げます。熱く応援してくれるファンに出会い、ファンとつながるコミュニティ・プラットフォームとして、リスナー・ライバーの皆さんにとって「心地よい空間を作り、生活に楽しさと温かさ」を提供しています。

ライブ配信市場は近年目覚ましい成長を続けており、また次代の無線通信システム「5G」の本格普及、ライフスタイルや価値観の多様化によるコミュニケーション手法の変化等により、今後もさらなる拡大が予測されています。

そのような社会的背景も踏まえ、Pocochaは今後のさらなるサービス拡大に向け、2019年10月にリブランディングを実施し、新生Pocochaとして生まれ変わりました。

ここでは、

  1. リブランディングの目的と新コンセプトに込められた思い
  2. “個性”を生む新デザイン
  3. プラットフォーマーとしての共創・共育デザイン

の3点に絞って、お話をしたいと思います。

1. リブランディングの目的と新コンセプトに込められた思い

■ 「Pocochaらしさ」を求めて

リブランディングの目的は、大きく2つあります。

1つ目は、Pocochaの価値観、アイデンティティを明確化することです。

Pocochaは「心地よい空間を作り、生活に楽しさと温かさを提供すること」を目指しています。ライブ配信は、自分の居場所や、人生の思い出を作ることができる場であり、Pocochaを通じて、より多くの方に、そのようなライブ配信の魅力を実感してほしいと考えています。そのためには、より多くの方にPocochaを知っていただき、そして皆さんにとってがかけがえのない存在として愛されるようにならないといけません。

配信環境の整備や、新たな機能展開、イベントやTVCMなどのプロモーション活動も勿論ですが、まず、そのベースとなるPocochaの世界観や「Pocochaらしさ」を定義していくことが必要だと考えました。

2つ目は、レッドオーシャン化する市場において、Pocochaの明確なポジションを確立するためです。

冒頭でも記載した通り、ライブ配信市場は今後さらなる拡大が予測されており、国内外の企業参入が相次いでいます。そのようなレッドオーシャン市場の中で、いかにブルーオーシャンを作り出し、その席を確保していけるか。Pocochaとしてのスタンスを確立させ、唯一無二の価値を構築していくためにも、今この段階でPocochaをブランド化させ、競業他社との差別化を図ることが必要でした。

■ コンセプトは「Live Link Life」

リブランディングにあたりまずはじめに着手したのが、Pocochaのポリシーとなるコンセプトです。

Pocochaは、これまでもリスナー・ライバーの皆さんと共に進化してきました。その世界観をこれまでは感覚的に共有してきましたが、今後はさらに多くの方々にサービスに触れてもらうことになり、もっとPocochaを愛好してもらえるためにも、「Pocochaらしさ」がブレないようにPocochaの価値を再定義しました。

それが「Live Link Life −今この瞬間を、いつまでも−」です。

「Pocochaらしさ」の軸となるコンセプトを思考していく上で、まずは、リスナー・ライバーの皆さんにとってPocochaがどのような存在になってもらいたいのか?を考えました。

ライブ配信は今後益々、人と人のコミュニケーションを通じて、かけがえのない居場所であり、人生の思い出へと繋がっていくと思っています。

ありのままの自分らしさを表現できたり、新たな自分を発見したり、大切な人との時間を共有したり、夢の実現に近づけたり。仲間と共に応援し合えたり、勇気をもらったり、喜びを共感できたり。一緒に笑ったり泣いたりしながら、努力や応援が積み重なり、自分の存在価値や存在意義を感じることで、それが自分だけの居場所になり、人生の思い出の1ページとして刻まれていく……。皆さんのそんな願いや希望に対して、Pocochaにしか提供することのできない本質的な価値とは何かを考えていきました。

Pocochaでの時間を通じて、リスナーさんも、ライバーさんも、共に家族と過ごしているような感覚が芽生えてきます。夢を追いかけているライバーさんが成功することで、リスナーの皆さん自身も感動し、リスナーさんも、ライバーさんも本気で涙を流します。“感情”がこの小さなモバイル端末を通して爆発するのです。

リアルタイムの瞬間「Live」を共有し、そこから生まれる言葉の一つ一つがその感動に繋がり、ライブ配信という場がそれぞれの人生の一部「Life」へと繋がっているのです。

そこが出会い系やマッチングサービス、またアーカイブ化されている動画配信サービスとの明確な違いで、「今、まさにこの瞬間を共に生きている。そしてそれが自身の思い出であり、人生になっていってる。」という体感ができる。これが新コンセプト「Live Link Life」、そしてサブメッセージである「今この瞬間を、いつまでも」という言葉に込められています。

また、コンセプト共にブランドとしての価値観となるポリシーや、ブランドパーソナリティも規定し、ユーザーに対するスタンスやその存在価値を示すことで、ブランド全体の統制を図っています。

2. 個性を生み、個性を育む新デザイン

コンセプトを決定した後、ブランドデザインに着手しました。本記事では、主にロゴやカラーなど、ブランドビジュアルのメインストリームの部分に関して触れています。

ではまず、デザインテーマについてお話ししていきましょう。

■ デザインテーマは「Make Your Color」

新たなビジュアルデザインを検討する中で、まず着手したのがデザイン全体のテーマです。ロゴやキービジュアルは勿論、アプリ内のUI、イベントプライズ、公式WEBサイトやアイテムなど、一新される全てのデザインに共通したメッセージでもあります。

プラットフォームサービスであるPocochaでは、リスナー・ライバーの皆さんそれぞれ個性があります。「多種多様な個性が溢れる世界」をどのようにデザインで表現していくか。ブランドチーム・デザインチームだけでなく、Pococha運営メンバー全員の意見を聞きながら、その指針となるデザインテーマを規定しました。

デザインテーマは「Make Your Color」です。多種多様でユニークな個性が、Pocochaをカタチにしていくという意味です。

あなたらしさを彩る、その瞬間を彩る。多種多様でユニークな「個性」という彩りが溢れる場所。それぞれの瞬間、それぞれの喜び、それぞれの願い、それぞれの夢、それぞれの仲間、それぞれの人生……。皆それぞれ一人ひとりの彩り豊かなかけがえのない「個性」というカタチがあります。

Pocochaは、誰しもが“主役”になれるかけがえのない場所として、そんな皆様の「個性の集合体」であり、多種多様で唯一無二の「個性」こそが、ブランドのアイデンティティとなってPocochaという一つのカタチを作り上げているというメッセージが込められています。

■ それぞれの“カタチ”をブランドロゴに

ブランドの顔となるロゴには、4名のデザイナーのみならず、外部協力者やビズ担当も含めて数多くのメンバーを巻き込みながら、多角的な視点で検討・制作を進めていきました。アイデアからブラッシュアップまで、そのデザイン総数は、200案以上にもなります。

また、Pocochaでは頻繁にデザインに関するユーザーアンケートを実施していますが、リブランディングの際にも同結果を再度収集し、そのニーズや傾向を探ったり、「POCO BASE*」というコミュニティ内で実際のデザイン案に対する印象や反応を聞いたりと、常にユーザー視点を忘れないように意識していました。

私たちはプラットフォーマーとして、その軸は常にリスナーさんであり、ライバーさんであり、皆さんと共に創り育てていくというポリシーを持っているため、デザイン制作に関してもそのスタンスやプロセスは明確でした。

*コミュニティーのハブとなる熱量の高い方向けのファンミートアップという位置付け。セミナー形式ではなく、参加者同士や参加者対運営が「Pocochaの未来」などを語り合う、インタラクティブな場を意識しながら運営されている

そして決定したのが、こちらのロゴ(上)とアプリアイコン(下)です。

新ロゴは、様々な「カタチ(パーツ)」が組み合わさって、Pocochaという1つのロゴになっています。それぞれの「個性」を「カタチ(パーツ)」で表現し、人と人や瞬間と瞬間など、Pocochaで「つながる」喜びをイメージしてデザインされています。

皆さんとの共創から感じたのは、極端にデザイン性に振り過ぎてもいけないし、プラットフォームサービスとして老若男女から違和感のない魅力的なデザインにしていくことが大事ということ。また、多くの方が納得、共感してくださったのが、Pocochaは「個性の集合体」だというデザインの根本となる考え方の部分でした。

リスナー・ライバーの皆さんそれぞれに「趣向」や「スタイル」、「夢」や「希望」といった彩り豊かな「個性」というカタチがあるということ。今回のデザインには、皆さんそれぞれの「個性」という一気通貫したブランドとしてのストーリーが組見込まれています。

また、より皆さんにブランドへの愛着を持ってもらうために、ロゴデザインから派生する形でPocochaのオリジナルフォント「Pococha Sans」も作成しています。これはリスナー・ライバーの皆さんご自身の名前など、自由に使用することができます。

■ 特定のブランドカラーは設けない

個性をカタチとして表現したロゴデザインと共に、今回のリブランディングにおいて重要なポイントが2つあります。1つ目は、Pocochaとしての特定のブランドカラーをあえて規定していない、という点です。

Pocochaは「個性」という「色」の集合体であり、プラットフォーマーであるPococha自身の色は存在しないという考え方です。一人一人の「個性」がカラフルな絵の具であり、Pocochaは真っ白いキャンバスのような、皆さんの多種多様でユニークな「個性」でPocochaに彩りを与えてほしいという、私たちの想いが込められています。

「個性」を示すベースとなるカラーは、ブランドパーソナリティをイメージした6つのカラーから成っており、それぞれのカラーを2つ組み合わせた「2トーン」でデザインしています。

これはライバーさんとリスナーさん、ライバーさん同士、リスナーさん同士というように、「人」と「人」のコミュニケーションから生まれる喜びを、そして「Live」と「Life」がつながるというコンセプトを「2トーン」で表現しています。

UIやアイテム、バナーや広告・販促物など、多種多様なデザインを実装していくために、ベースの6色に加えて、ニュアンスの異なるカラーバリエーションを定義した上で、各シーンに応じて使用できるカラーガイドラインを設定しています。

これらカラーの全てに、“Tears”“Dream”“Breeze”など、コンセプトである「Live Link Life」に関連する固有のカラー名称が付いており、ブランドとしてのストーリー性を与えています。

■ ブランド「パターン」の採用

そして、もう1つのポイントがオリジナルの「パターン(柄)」をブランド・アイデンティティとして採用している点です。

パターンは、家紋や文様など、古くより「個性」や「特徴」を表現したり、「仲間」や「コミュニティ」を識別・認識する手法として用いられてきました。今回のリブランディングでは、Pocochaのロゴで使用している各パーツを自由に組み合わせた、多種多様でユニークな「パターン」をデザインに盛り込み、リスナー・ライバー皆さん一人ひとりのかけがえのない「個性」やそれぞれの「ファミリー」や「コミュニティ」の多様性を表現しています。

3. プラットフォーマーとしての共創・共育ブランド

ブランド全体のコンセプトも、ロゴもカラーもパターンも、Pocochaというブランドは、その全てがユーザー起点であり、コミュニティの熱量がPocochaを支えています。一人ひとりそれぞれの「個性」と「情熱」こそが、Pocochaのアイデンティティそのものなのです。

それが、プラットフォーマーとしての私たちのスタンスであり、皆さんと共に創り、共に育んでいくというブランドモデルこそが、揺るぎないコアバリューとなっています。

■ ユーザー限定の新ブランド先行発表会

今回のリブランディングにおいては、リスナー・ライバーの皆さんへの伝達方法や協力手段など、そのコミュニケーション手法も非常に重要なポイントでした。

先にお伝えした通り、デザイン制作に関しても運営側が一方的に決めるだけではなく、皆さんの感想やアイデアを取り入れたり、一緒に作り上げていけるように意識しています。リスナーさんもライバーさんもPocochaに対する想いをストレートに伝えてくださるので、運営側が想像できなかった新たな視点やアイデアが出てくることも多々あります。それくらい熱心にいろいろ考えてくださるので、その熱量を運営側もしっかり受け止めています。

リブランディングにおいて最も懸念だったのは、そのような皆さんの心境の部分です。熱量が高いゆえに、旧デザインに対する強い愛着心を持たれているため、変わってしまうことへの抵抗感が少なからずあったと思います。

その課題に対して、実施したアクションの一つが、既存リスナー・ライバー皆さん向けの「リブランディング先行発表会*」です。

旧デザインに対して愛着を持ってくださっていることを大前提とした上で、リブランディングの背景や新デザインに込められた想い、そしてその方針を誠意をお伝えしました。

通常、事前公開のイベントは、メディア向けや業界関係者、株主等に対して実施するケースが多いですが、Pocochaの場合は何よりもリスナーさん、ライバーさんが第一であり、「誰よりも先ず初めに皆さんに伝えたい」「皆さんと一緒にお祝いしたい」と考え、実行に至りました。

*新コンセプト・デザインの一般ローンチに先駆けて、既存リスナー・ライバーの皆さんへの事前申込制で開催された

会当日は多くの方が来場し、その反応はとても良く、疑心やネガティブな反応よりも、むしろこれからのブランドに対する期待感の方が大きく、多くの方に共感していただいたと思います。

また会の最後には、参加者全員で、ブランドの象徴であるブランドパーツを使用したオリジナルPocochaパターン作りをしていただき、「新生Pococha」が始まる喜びと、共創・共育というコンセプトを体現していただきました。

■ 新デザインノベルティをローンチ当日無料配布

また、Pocochaへの想い入れが特に強い皆さんを対象に、新デザインのノベルティー(送付レター/プロップス/缶バッジ/ステッカー/ティッシュ)を、リブランディングローンチの当日指定で、サプライズとして無料でお贈りしました。その数は、1,000名以上にもなります。

「ロゴが新しく変わった!」「新デザインのグッズが届いた!」というように、リスナー・ライバーの皆さんと新たなPocochaが生まれた瞬間の喜びを一緒に共有したいと考えました。

「リブランディング先行発表会」への申込フォーム内には、「新しくお披露目される瞬間に立ち会いたい」「当日も一緒にお祝いがしたい」といった声が多数届いており、コミュニティの熱量の高さが私たち運営の想定を遙かに上回っていることを目の当たりにしました。

そのような反応を踏まえて、ローンチまでは1ヶ月弱しかないというタイミングではありましたが、「皆で一緒に祝福できる場を提供しないといけない」と思い、このサプライズ企画を実行しました。

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