普段使うサービスの裏側に学びが。UI/UXデザイナーが意識すべき視点とは?
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普段使うサービスの裏側に学びが。
UI/UXデザイナーが意識すべき視点とは?

デザイナーを目指す学生を対象にしたウィンターインターン「デザインコース」が、2021年2月6日(土)、7日(日)の2日間にわたって実施されました。
参加した学生とデザイン本部 本部長 増田とサービスデザイン部 徐の座談会の詳細は「フルスイング」の記事をご覧いただくこととして、こちらでは番外編として、DeNAのデザイナーがどこからインプットを受け、それをどのように自分の仕事に繋げているのか。学生からの質問に答える形でお届けします。

これからのデザイナーに求められるもの、デザイナーを目指す学生とデザイン本部長が語り合った未来像

株式会社ディー・エヌ・エー 執行役員 兼 デザイン本部長 増田 真也(ますだ しんや)

多摩美術大学 環境デザイン学科卒。2008年デザイナーとしてDeNAに中途入社。mobageのマネージャー、スマホ版mobageなどの立ち上げを経て、音楽ストリーミング配信サービスや地域SNSなど新規事業のプロダクトマネージャーを経験。大手ゲーム会社とのプラットフォーム開発におけるプロダクトマネージャー、デザイン戦略室の副室長を兼務後、2018年4月から執行役員デザイン本部長に就任。2019年4月からネットサービス事業本部長を兼務。Delight Venturesアドバイザリーメンバー。

デザイン本部 ブランドデザイン室 徐 愛琳(じょ あいり)

WEB制作会社でUIデザインを経験した後、2017年にDeNA入社。 配車アプリ「MOV」のサービス開発を経験後、現在はライブ配信アプリ「Pococha」でサービスのUX/UIデザインに携わる。


Q.「UI/UXデザイン業界で流行しているもの話題になっているものってありますか?」

徐 :やっぱり「Clubhouse(クラブハウス)」じゃないですか。

増田:ですね。

徐:招待制ということで心揺さぶられ、「入ってみたい」って思わされたり、目の前でユーザーがぐんぐん増えていくその過程を見て、自分がその時系列にいて、その過程を経験できたのが面白かったです。自分が「Pococha」に携わってっていることもあり、同じソーシャルメディアとしてリンクするものも多く、UIももちろんですが、このサービスに対してユーザーはこういう風に使ってて、という部分でいろいろ学ぶものもあり、発見も多いです。

増田:そういう視点で見るようになりますよね。「Pococha」の事業責任者の住吉と「これって実名登録を推奨してるんだよね」とか「コミュニティってどうなってんのかな」みたいなのを「Clubhouse」上で喋ったことがあります。新しいものはとりあえずみんな試すし、それがどう作られているのかみたいな裏側の部分を気にしながら使ってみたりしますね。

徐:先輩のデザイナーがインターンでメンターをした時に、「常に“なぜ”をちゃんと考えるように」と学生さんに話していたことをよく覚えています。私の場合、インスタが大好きだからよく触っているんですが、インスタのUIもすごい頻繁にアップデートしてるんです。「なんでこのUIにしているのかな」「なんでこのボタンがここにきたのかな」「なんでこれは奥まっちゃったのかな」「なんで機能追加したのかな」って考えていくと、自分の憶測ではありつつも、こういうことだからこうなったのかなと、思考が実務で応用できることがあるので、そういう視点で新しいサービスを是非見ていただきたいなと思います。

増田:それ、わかります。「なんでインスタこのボタン、こっちに寄せたんだ」って思いますよね。

徐:一時、そうなったけど元に戻ることもありますよね。

増田:彼らは個別のIDでUIを出し分けたりしてるんで、自分のアカウントがテストに使われたりしてるんですよ。友達は変わってないけど自分だけ変わってるとか、そういうのは結構頻繁にあります。

徐:「テストされてる」っていう感じ、ありますよね。

増田:普段何気なく触っているものも、いろいろ考えられてつくられています。やはり、そういう視点で見ていくのは結構重要だと思いますね。


Q.「UX/UIの観点で、参考になる本を教えてください」

増田:UX系のいろんな本を読みましたが、「この一冊を読めばもう他読まなくていいです」というくらい集大成的な本。UXデザインをどう極めていこうかなっていうのを、デザイン本部のメンバーで読み漁って「まあこれだよね」って出たのがこの本です。社内のビジネス職やエンジニアに、「とりあえずこれ読んでください」って回しました。

「ジョブ理論 イノベーションを予測可能にする消費のメカニズム」(著:クレイトン・M・クリステンセン他)

徐:これ、デザイン本部内でも「いいよ!」って話題になってた本で、私も付箋をいっぱい貼って使っています。実際、提案する時にこの本の通りに提案して、上手く行ったりしました。「コピーの書き方や色は、こういう風に提案すればいいのか」とか。UIとかつくってると機能面にフォーカスしがちなんですが、どういう体験を届けるのかというブランディングも大事だと思っています。だから自分がデザイナーとしてサービスをつくっていく上で、こういう知識は必要だなと思っていて、大事にしている本です。

「事例で学ぶブランディング ランドーのデザイン戦略大公開」(著:ランドーアソシエイツ)


Q.「他のデザイナーで気になる方がいたら教えてください」

増田:デザイン業界で活躍している人はいっぱいいると思うんですけど、特にインターネット業界の方はTwitterやっていることが多いので、フォローしたらいいんじゃないでしょうか。
徐:この界隈の人って結構Twitter使っている人が多いので、フォローをして、他の会社がどういう動きをしているのか、どういうデザインをしているか、デザイナーとしてどういうことをやっているか、など、ちょこちょこ見るようにしてます。「あ、他のデザイナーさん、こんなこと頑張ってるんだ」とか、頑張る原動力にしてます。自分はあんまり発信しないタイプですが…。

増田:僕がやっていることって、端的に言うと特許庁が推進する 「デザイン経営」 みたいなことで、それに対して、今答えを持ってる人はあんまりいないんですよね。なので、参考にするのはデザイン以外の人ですね。経営者の方とか。デザイン業界のことはなんとなくは理解しているので、それ以外の部分を自分の中に取り入れてたり、本などで補足して自分なりの答えを出すしかないと思っています。究極的には「自分がこうすべきと思ったことをブレずにやって行くんだ」っていう感覚でいます。


取材日:2021年2月26日