WWDC19 速報レポート 4 日目会場運営における UX/UI デザインの工夫、エンジニアがグッとくる Apple の魔法DevRel の視点編
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WWDC19 速報レポート 4 日目
会場運営における UX/UI デザインの工夫、エンジニアがグッとくる Apple の魔法
DevRel の視点編

全体的にグッときたという話です。

4 日目レポート

〇〇の視点になって考えてみた WWDC の速報レポートシリーズ 4 日目は<DevRel>編です。

  1. iOS Developer の視点 - WWDC19 で注目したい新しいテクノロジー
  2. UI Designer の視点 - これからの iOS アプリの UI デザイン
  3. Apple のヘルスケア関連新サービスと、WWDC の健康アクティビティ、アメリカのヘルスケア産業
  4. DevRel の視点 - 会場運営における UX/UI デザインの工夫、エンジニアがグッとくる Apple の魔法 ← 今回
  5. Frontend Engineer の視点 - Safari と WebKit の進化ほか

私は DevRel を実際担当しているわけではないのですが、普段エンジニアのマネージメントをしている都合上 DeNA の DevRel メンバーとも近い関係で働くことが多かったり、フロントエンドエンジニア向けの「FRONTEND de KANPAI!」を主催しているので、本日は自分が DevRel になった気持ちで WWDC のレポートをお送りしたいと思います。

ちなみに DevRel とは

DevRel とは Developer Relations の略で、開発者向けの自社製品やサービスと、外部開発者とのつながりを作り上げる活動またはその担当者のことを指します。平たく言うとイベントの開催やサポート、または採用まわりなどの活動を通して、エンジニアをトキメかせる専門家です。

そういった専門家である弊社の DevRel チームも Google I/O や Ruby Kaigi など WWDC 以外の大型のカンファレンスに参加することがよくあるのですが、齟齬がないように出発前に事前にランチインタビューを行いました。

Q. DevRel はどんな仕事ですか?

A. 会社によって役割は異なりますが、大きくエンジニアをモチベートする仕事です。他社だとエンジニアが使うようなツールやプロダクトを売り込むマーケティング的な仕事をしたりしますが、DeNA の DevRel は会社をエンジニアフレンドリーにする仕事をしています。具体的には採用ブランディング、社内外エンジニアとの交流・サポート、改善などです。

Q. カンファレンスに参加するとき、どういうところに着目していますか?

A. 受付が混まないような工夫がされているかだとか、ノベルティでどんなものがあるかとか、イベントオーガナイザーの視点でみることが多いです。DeNA はエンジニア向けのイベントが多数あり、そういう場の参考にしたいなというのがあります。

Q. それはどんなところでしょうか?

A. 自分がエンジニアだったらとか、実際エンジニアをやっていた時期のことを思い出して、「グッときちゃうな」と思ったところ、現地で感じるノンバーバルな体験はすごく参考になると思います。

Q. ありがとうございました

A. ありがとうございました、蟹食べてきてくださいね!

—-

というわけで

WWDC19 でデベロッパーなら「グッとくる」、イベントの運営者的に気になる点を集めてみました。

レジストレーション

チケット

WWDC のチケットは抽選です。当選するとカンファレンス一週間前ぐらいに iOS の Wallet に登録できるようになります。
これを持って会場にいってレジストレーションを行い、バッジをもらいます。

バッジ

バッジ

WWDC のバッジは NFC タグが搭載されているようで、会場に入るにはこのバッジを専用のリーダーに読ませないと入れません。

バッジはネームカードにもなっているので、他の developer 同士のコミュニケーションにも役に立ちます(バッジのネームは WWDC が始まる前に事前登録します)。レジストレーション時に、バッジの NFC タグにユーザーデータを登録しつつ、バッジにネームを転写しているようでした。

グラフィック・デザイン

キービジュアル

キービジュアル

さまざまなキャラクターの Emoji の頭がバーンとなっているグラフィックが WWDC19 のキービジュアルです。

周囲には開発ツールや Apple を構成するアイコンが散りばめられています。今回の目玉の一つ Dark Mode iOS を示唆しているかのように、ダークな背景に電飾のグラフィックで描かれています。さらにこのキービジュアルはアニメーションもしていて、普通の Emoji だったところから頭がバーンとなって周囲にアイコンが飛び散っていく様子のアニメーションも作られていました。

サイン

signs

先日のデザイナー編でも書きましたが、Xcode で使用されているエディタフォントが各種サインのテキストに使用されています。

スタッフ T シャツ

スタッフの T シャツはとてもシンプルで、青系の無地で胸のところに「Staff」とかかれているだけです。
何か聞きたいこともすぐそのスタッフが見つかるので、参加者としてはわかりやすく、とてもいいと思いました。ちなみにエンジニアとデザイナーはそれぞれ「Engineer」「Designer」と書かれた T シャツを着ているようでした。

ノベルティ

ジャケット

弊社エンジニアにモデルになっていただきました

バッジをもらうタイミングで WWDC のロゴが描かれたジャケットをもらうことができます。
会場はエアコンがかなり効いていて冷えるのでジャケットがとても役に立ちます。(ん…てことはあえて冷やすようにしている…?)

マグネットピン

ピン

バッジをもらうタイミングでランダムな 5 つのピンと出身国のピンを貰えます。ランダムなピンは参加者同士で好きなのに交換してねみたいな意味合いがありそうです。

出身国のピンは参加者の合流の際にとても便利です。ジャケットにみんな付けていますね。各種スペシャルイベントやアクティビティに参加するともらえるピンや、会場で配る人が突然現れて配っているピンもありました。

このピンが欲しいがためにイベントに参加したくなるので、いい施策だと思います。(集めて楽しい)

その他のノベルティ

ラボという場所があるのですが(Apple のスタッフに直接聞ける場所) そこで聞くと Xcode のラボであれば Xcode のアプリアイコンのステッカーがもらえることもあるようです。私は Interface Design Lab に行ったのですがもらえませんでした。(どうやら非公式らしい)

スタッフ

プレゼンテーション

プレゼンテーション

統一感のあるスライド、話し方やスピードもどの人が話してもなるべく同じになるようにトレーニングがされているのかとても話が聞きやすいように感じました。

そのせいか、英語がネイティブでない私でも聞き取りやすく感じました。

案内スタッフ

案内をしてくれるスタッフはとにかくテンションが高く、テレビでも報道されるように Apple Store の新製品発売の時にハイタッチする、あの感じです。特に Keynote 前は開催時間までの待ち時間も長いため待っている参加者に声をかけたりハイタッチしたり盛り上げてくれます。

日本ではなかなか合わなそうですが、グッとくるポイントでもありました。

体験

AR Game Room

弊社エンジニアがプレイ中

Swift Strike という ARKit 3 の新機能である AR オブジェクトとリアル空間の前後関係を表現できる People Occulusion 技術が使われた対戦ゲームを体験できるエリアです。2人プレイが必要で、知らない人同士で対戦することもあり、勝った方には賞品のピンが贈られます。

またプレイの様子はスタッフが持つ3台目の iPad からテレビに表示され、観戦ができるようになっていて、周囲のスタッフがプレイヤーを応援していました。

Health Special Events

Activity Studio

ワークアウト、ランニング、ヨガのイベントが 2,3,4 日目の朝に開催され、参加するとピンと、色違いのバンドがもらえます。ヨガに参加すると 99$ ぐらいするマットももらえたみたいです。

meetup / lunch

テーマ単位で開催されるランチトークセッションがあり、ランチやモーニングの時間に開催され、参加者同士の繋がりが促されています。

カンファレンス専用アプリ

https://itunes.apple.com/us/app/wwdc/id640199958?mt=8

ストリーミングで生配信の視聴ができます。ホールがいっぱいの時は、こちらで見ることもできます(現場で見た方がカメラのスイッチの影響を受けないので楽です)。ローカルに保存もできるので、事前にダウンロードしておいて、飛行機の機内などで見ることもできます。

その他カンファレンス中のお知らせやスケジュールなどもこのアプリを通して行われます。

会場

カフェエリア

カフェエリア

Keynote が終わると公開される新しいバージョンの Xcode や iOS のベータバージョン。developer はすぐ試したいので有線 LAN が配置されたエリア(カフェエリア)に集まってダウンロード/インストールをしてもくもくします。

Labs

デベロッパー向けラボ

「直接フレームワークを作っている人に聞くことができる」場は本当に貴重で、Keynote 後にクローズドベータ版を試したあとフィードバックをしたり、今開発で困っているところを聞きに行ったりと、現地で参加することが一番意味のある場になります。

デザイン、アクセシビリティ、アプリストアのレビューなどの Labs もあるので(当日の予約が必要でなかなかとれませんが)、Apple のエンジニア / デザイナー / レビュアーと情報交換ができて、とてもモチベートされる場です。

物販

物販

オリジナルグッズの販売エリアがありました。Tシャツ、スウェットなど使いやすい服がありました。

WWDC19 のキービジュアルやツール・ロゴが描かれており販売開始初日(2日目)には3時間待ちの行列ができていました。

音楽

WWDC の Keynote や、会場で流れる BGM がまとめられて Apple Music のプレイリストで公開されていました。

https://music.apple.com/jp/playlist/wwdc-2019/pl.6be3fe3eebe64a81bebd26d1ebf486c5

BGM 全曲はプレイリストには入っていないようで、Billie Eilish の「bad guy」や Daft Punk「Technologic」、Gorillaz「Feel Good Inc.」などプレイリストにない曲も流れていました。Billie Eilish の「bad guy」のトラックが耳に残る感じで MV も観ましたが良きです…。(まんまとファンになりそう)

パーティ

Music on Plaza (2日目)

2日目の夕方はカンファレンス会場の目の前でバンド演奏が行われます。

私の好きなスティービーワンダーの「Superstition」のカバー他を演奏していてここもグッときました。

Bash (4日目)

Bash

4日目の夜はカンファレンス会場近くの 1 万人ぐらいは収容できそうな野外の公演特設のライブセットステージが組まれ、Bash (アメリカのスラングで、どんちゃんさわぎ?)があります。有名なバンドが登場するので大いに盛り上がります。

今年は Weezer が登場しました。最高かよ…。

感想

こうして俯瞰して施策というかイベントの運営の工夫を見てみると一貫性を感じることに気づきます。それはあらゆる要素が自社のものに紐付いていることです。

長年蓄積されたノウハウを活かして改善をしながら、クリエイティブディレクターが一貫性を持たせて、それをしっかり実行するスタッフがいて、全体的にグッときました。

参考になるポイントが他にもたくさんあり、trySwift / AltConf / iOSDC など良いコミュニティのカンファレンスができていくベースとしての役割もあると思いました。

告知

6/14 (金)、iOS de KANPAI! (WWDC 2019 報告会) で同僚と一緒に登壇します。良かったらお越しくださいませ〜。

  • Nobuhiro Takahashi

    Nobuhiro Takahashi

    Designer / EngineerShow More